この症例の提供歯科医院

こすが歯科医院府中市

詰め物・被せもの
部分入れ歯

2023/04/07

70代女性「右側で噛めない、左耳が過敏になった」噛み合わせの高さを「フェイスボウ診断」で正しく診断し適切な入れ歯と被せ物を作り直したことで、耳の不調や歯の痛み、咬合異常を根本から改善した症例

Before

After

ご相談内容

「左耳から血流音がしたり、音や振動に過敏に反応したりするようになり、夜眠れなくて悩んでいる。肩や頸部も痛い。歯医者で治せますか」とご相談いただきました。

もともと1年前に、「右上の奥歯がグラグラして触れるだけで痛い。左だけで噛んでいるが右側で噛めるようになりたい。食べかすが全体的に詰まるのも気になる。なるべく歯を触らず治してほしい」とご来院いただいていた患者様でした。

カウンセリング・診断結果

1年前のご来院時、右上の奥歯（第1大臼歯／6番）は歯周病が原因でグラグラと揺れており、隣の歯（第2大臼歯／7番）はもともと欠損していました。
右下の奥歯（第2小臼歯／5番）は噛み合わせが低く、上下の噛み合わせのバランスが悪くなっていました。

また、左上の奥歯（第1大臼歯・第2大臼歯）は本来の位置から伸びてしまっている「挺出（ていしゅつ）」が起きていて、噛み合う左下の奥歯2本（第1大臼歯・第2大臼歯）の入れ歯は高さが低く作られていました。
左上の奥歯には強い噛みしめが原因で、歯の根本付近がV字型にえぐれたように欠損する「楔状欠損（くさびじょうけっそん）」も見られました。

噛み合わせの不調和を根本から直す「原因療法」が必要とご説明しましたが、患者様は症状が出ている部分のみを治療する「対症療法」をご希望されたため、保存が難しかった右上奥歯は抜き、隣の奥歯と合わせて部分入れ歯を作製しました。
右下の奥歯については、入っていた銀の詰め物を新しく白い詰め物にやりかえました。
また、左上の奥歯は噛み合わせの高さの修正はせず、新たに入れ歯を作り直す治療にとどめ、その後様子を見ていました。

しかし1年後、今回現れている症状と、上顎と顎関節の位置関係を確認する「フェイスボウ診断」の結果から、やはり左下奥歯の入れ歯の高さが低いことがわかりました。
これにより、左上下の顎間の距離と左右の噛み合わせの高さの不調和から「咬合異常」が生じており、耳鳴りや耳が痛いなどの症状が出る「コステン症候群」が起こっていると考えられました。

今回の症状は対症療法では改善が見込めず、根本から治療をする原因療法が必要と診断しました。

行ったご提案・治療内容

左側の噛み合わせの修正や入れ歯の補正を行う原因療法により、もともと右側に出ていた症状も改善できることをシミュレーションなどを使って丁寧にご説明し、ご了承いただきました。

フェイスボウ診断をもとに、左上奥歯2本に適切な高さを想定した仮歯を作製し、さらに左下の入れ歯の人工歯部分に専用の材料を盛って高さを足して修正し、正しい噛み合わせへの改善と右側の痛みの緩和を目指しました。
新しく入れ歯を作製することもできましたが、患者様の費用負担が最小限に済むよう、1年前に作った入れ歯を改造して対応しました。

噛み合わせが安定し、コステン症状が改善したことを確認してから、左上の仮歯を順番に本歯へ置き換えていきました。
その際、楔状欠損している部分もカバーできる形になるよう意識して作製しました。

その結果、右側に出ていた症状を左側からのアプローチで落ち着かせることができました。

術後の経過・現在のご様子

右上の痛み、左右の咬合異常、コステン症状、肩や頸部の痛みが改善し、左右でしっかり噛めるようになりました。
患者様も「しっかり治してよかった。体調も良い」と喜んでいただいています。

現在は定期的にご通院いただき、メンテナンスをしながら経過観察を行っています。

この治療のリスクについて

噛み合わせの高さの問題を放置し続けた場合、無視できないほど全身への影響が大きくなります。
また、その悪影響は高まる一方で、症状が良くなる、または治る可能性はかなり低くなります。

年齢・性別 70代女性
診療種別自由診療

治療期間の目安約1年
治療回数の目安約20回
治療費総額の目安約550,000円

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。
ご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当サイトは一切責任を負いかねますのでご了承ください。

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治療前治療中治療後

治療前

術前の左奥の様子です。
上下でしっかり噛んでいるか確認して下さい。厳しい表現ですが、噛んでいません。
左上の奥歯は歯肉退縮も起こしています。咬合異常が続いている状態です。

治療中

左耳が過敏で夜3時間しか寝れず、噛むと左下が痛いとお話しされていました。
歯肉退縮も依然として続いています。

治療後

歯肉全体の回復は、咬合異常の回復から始まっています。
咬合異常を治したことにより、噛み込みが浅くなっているのが分かります。

治療前

治療中

左耳が過敏で夜3時間しか眠れない。左下は噛むと痛いとのことでした。
歯肉退縮も見られます。

治療後

両奥歯でしっかりと噛めているのが分かります。

治療前

治療中

治療後

治療前

治療中

治療後

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その他

両サイドで噛めているのが分かります。

その他

上下でしっかり噛めているのが分かります。

クリニックより

咬合異常は隠れたトラブルです。
噛み合わせが大事と言う概念だけが先行し、その病名の意味合いがあまりにも知られていないと感じています。
適切な噛み合わせに導く診査や診断法、治療としてどの程度のレベルでアプローチするのかといった点で参考にしていただけたらと思い、こちらの症例をご紹介しました。

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自由診療	噛み合わせ治療、顎位治療、入れ歯、インプラント、審美
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代表者	小菅　伊知郎