抜歯後の血餅の役割は?取れないよう気をつけるべき5つのこと

親知らずや悪くなってしまった歯を抜いた後、傷口にできる黒い塊を見て不安になったことがある方もいらっしゃるでしょう。この黒い塊は「血餅(けっぺい)」と呼ばれており、抜歯後にできた穴が治癒する過程でできるものです。

本記事では、血餅の役割や取れないようにするために気をつけたい5つのポイントについて説明します。抜歯後の傷の治りを妨げないためにも、血餅の役割や注意点をきちんと理解しておきましょう。血餅が気になっている方やこれから抜歯を受ける予定の方は、参考にしてください。

 

血餅の役割は?

歯を抜いた後にできる「血餅」は、血を止めたり治癒を手助けしたりとかさぶたのような役割を果たしています。また骨が出た状態だと細菌感染を引き起こす恐れがあるため、それを防ぐ役割もあります。

抜歯後1週間ほどで血餅は気にならなくなりますが、それまでに剥がれてしまうのはよくありません。骨が露出してしまい、外的な刺激を受けやすくなるからです。その結果、治癒が遅れる他、炎症や痛みが生じる「ドライソケット」になる場合があります。

血餅は自分で取らず、様子を見ることが大切です。

 

生活の中で気をつけるポイントは5つ

血餅は外的な刺激によって剥がれてしまうため、いつも何気なく行っている習慣にも注意が必要です。

ここからは、血餅を剥がさないために生活の中で気をつけるべき5つポイントについて順に説明していきます。

①硬い食べ物を控える

歯を抜いた後の数日間は、硬い食べ物を避けましょう。例えば、せんべいやフランスパン、ポテトチップスなどです。また患部に刺激を与えないためにも、香辛料やスパイスの効いた食事も控えた方がよいでしょう。

おすすめの食事は、雑炊やおかゆ、うどん、野菜スープなどです。熱すぎても刺激を与えてしまうため、少し冷ましてから食べるようにしましょう。

②激しいうがいをしない

血餅が十分に固まるまでは、激しいうがいをしてはいけません。血餅が取れたり、血が固まりにくくなったりするからです。

歯を抜いた当日は出血が気になるかもしれませんが、清潔なガーゼを使って止血しましょう。それでも出血する場合は、歯を抜いた歯医者さんに連絡してください。

③歯ブラシで刺激しない

歯を抜いた当日は、歯磨きを控えましょう。歯ブラシの毛や歯磨き粉の成分によって患部に刺激を与えてしまいます。食べカスが気になるなど口の中の不快感を感じる場合は、優しく口をゆすぐ程度にしておきましょう。

翌日以降に歯磨きをする際には、患部を強く擦らないよう注意が必要です。また血餅ができると気になって舌や歯ブラシで触ってしまいそうになりますが、取れる原因となるためなるべく触らないように気をつけてください。

④血流がよくなることを避ける

一気に血流がよくなると、出血しやすくなり治癒を遅らせてしまう恐れがあります。そのため歯を抜いた当日は、血流がよくなる行為を避けましょう。例えば、入浴や激しい運動、アルコールの摂取などです。

またタバコも治癒を遅らせる原因となるため、できる限り控えましょう。

⑤渡された薬を途中でやめない

抜歯を終えたら、歯医者さんで抗生物質や痛み止めなどのお薬を処方してくれます。痛み止めは必要に応じて使用して問題ありませんが、抗生物質は指示された量・期間を守って必ず服用しましょう。

自己判断で薬をやめてはいけません。痛みが再発したり、細菌感染したりする恐れがあります。

 

血餅がきれいになるまでの期間はおよそ1カ月

先述した通り血餅は1週間程度で気にならなくなりますが、抜歯した穴が塞がって通常通りになるまでには約1カ月ほどかかります。

  • 具体的な治癒過程は、下記の通りです。
  • 抜歯後2-5日程度:歯茎に新しい皮ができ始める
  • 抜歯後20日程度:抜歯した穴が塞がり、歯茎が馴染んでくる
  • 抜歯後1カ月程度:歯茎の形が戻り、生活への支障がなくなる
  • 抜歯後3-5カ月程度:抜歯前とほとんど変わらない状態になる

抜歯の難易度や骨の状態、治癒力など条件が一人ひとり異なるため、必ずしも同じ期間で治癒するとは限りません。治癒過程で異常や違和感を感じた時には、歯医者さんに相談することをおすすめします。

 

まとめ

歯を抜いた後にできる黒い血の塊は「血餅」と言われています。血餅には血を止めたり治癒を手助けしたりする役割があり、いわゆるかさぶたのような存在です。また細菌感染を防ぐためにも、骨を外部刺激から守る役割もあります。

剥がれてしまうと治癒が遅れる他、炎症や痛みが生じる「ドライソケット」になるかもしれません。治癒を妨げないためにも、刺激を与えないよう気をつけて生活しましょう。

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