20代で歯の神経を抜くとどうなる? 歯を長持ちさせる方法も紹介

20代で神経を抜くと歯を失うリスクが高くなります。神経を抜いた歯の寿命は半分以上も短くなるため、再治療の負担に歯が耐えられなくなり抜歯が必要になることがあります。

今回は、20代で歯の神経を抜く人の割合や神経を抜いた歯に起こりうることについて解説していきます。

20代で歯の神経を抜く人の割合

20代で歯の神経を抜いた人の割合は28.1%です。約3人に1人が歯の神経を抜いた経験があるということです。

さらに、30代で40%、40代で60%と、年齢を重ねるごとに歯の神経を抜く人の割合は増加しています。

主な原因は虫歯ですが、重度の歯周病でも神経にダメージを与えることがあります。

 

参照:一般社団法人 日本歯内療法学会

神経を抜いた歯の寿命

歯の神経を抜くと歯が極端にもろくなり、治療を繰り返すことで歯への負担が大きくなります。20〜25年後には抜歯が必要になることがほとんどです。

神経を抜いた後の管理状況が悪いと、5年で歯を失うこともあります。

素材によっては長持ちするものもありますが、被せ物は消耗品です。10年前後で再治療が必要になるため、20代はなるべく神経を残す治療方法を選択したほうが良いでしょう。

 

歯の神経を抜く「根管治療」とは

根管治療とは、神経を除去した後に神経が入っていた管(根管)を殺菌し、再び細菌が侵入しないよう被せ物を装着する治療方法です。

虫歯は、エナメル質→象牙質→歯髄(神経)といった順に進行していきます。

神経まで細菌が届くと強い痛みが生じます。神経に起きた細菌感染を放置すると、溜まった膿が周囲の骨を溶かし歯を失うことになります。

根管治療は虫歯の進行を抑え、抜歯を防ぐために行われます。

 

歯の神経を抜くときは痛い?

神経は痛みを感じ取る部位のため、抜く際に痛みが生じるのではないかと心配になる方も多いと思います。しかし、手術前に麻酔をするため神経を抜くときはほとんど痛みを感じません。

ただ、症状や炎症の度合いによって術後に痛みが出やすい場合があります。術後の痛みは3日程度で治まりますが、鎮痛剤などで対応してコントロールします。

 

歯の神経を抜いた後はどうなる?

感覚器官である神経を抜いてしまうと体内で起こっている異変に気づけなくなります。以下に神経を抜いた歯に潜むさまざまなリスクについて説明します。

虫歯の再発や進行に気づきにくい

痛みを伝達する神経を抜くと、歯に炎症が起きても痛みを感じなくなります。虫歯に気づくほとんどの場合は、歯が痛いと感じたときではないでしょうか。歯の神経を抜いた場合、虫歯が再発し、ある程度進行していても気づきにくくなります。

また、神経を抜いた歯には被せ物を装着しますが、歯と被せ物の間に汚れが溜まりやすくなり、虫歯が再発しやすいというリスクもあります。

 

歯がもろくなる

歯の神経を抜く際は、同時に周囲の血管も除去することがあります。血管は各部位に栄養を届ける役割があるため、神経を抜いた歯への栄養補給が途絶え、歯がもろくなります。

結果、刺激や衝撃が強くない場合でも歯が欠けたり割れたりしやすくなります。

 

再感染した場合は抜歯のリスクが上がる

神経を抜いた後の再治療は通常の歯に比べて、治療の難易度が上がります。また、虫歯などが重症化してからの治療は抜歯になることが多いです。

根管内に細菌が侵入して、感染を起こすと膿が出て激しい痛みにも襲われます。

 

歯の寿命をのばすための方法

歯の神経を抜いた場合、歯がもろくなり再感染のリスクが高まることを説明しました。

歯の寿命は口内環境や生活習慣によって大きく影響を受けるため、治療後の行動によって歯の寿命を縮ませることものばすこともできます。

神経を抜いた歯の寿命をのばすには以下の方法があります。

  • 3~6か月に1度、歯科医院でメンテナンスをする
  • 食後に歯磨き、うがいをする
  • 丁寧に歯磨きをする
  • 歯間ブラシやデンタルフロスを使う
  • 甘いものを食べ過ぎない

歯科医院で行われるクリーニングは歯ブラシだけでは落ちない歯石を除去してくれます。また、定期的に通院することで神経を抜いた後では気づきにくい虫歯の早期発見にもつながります。

歯を長持ちさせるためには、日々のケアと定期健診を徹底することが大事です。

 

神経を抜かない覆髄法(ふくずいほう)

以前は根管治療が主流でしたが、現在は神経を残す治療方法もあります。

特に20代で歯の神経を抜いてしまうと、10〜20年後には再治療が必要になるため、歯を長持ちさせるために温存治療が勧められています。

 

覆髄法は保険適用外であり、場合によっては治療後に神経を抜かなければならない可能性もあるため、医師に相談しながら慎重に検討しましょう。

覆髄法は主に2種類あります。

  • 直接覆髄法
  • 間接覆髄法

直接覆髄法は、露出した神経に直接薬剤を塗布します。

間接覆髄法は、神経の露出がなく神経付近まで歯を削った場合に、さらなる刺激を遮断する目的で薬剤を充填します。

使用される薬剤は、「MTAセメント」です。殺菌作用に加え、固まる際に膨らむ性質があり、隙間なく神経を保護することができます。

 

20代で歯の神経を抜く場合はリスクに注意する

歯の神経を抜くと極端に歯がもろくなり、歯を失うリスクが格段に上がります。神経を抜いた歯は健康な歯に比べて半分以上寿命が短くなることがわかっています。

20代で歯の神経を抜くと再治療が必要になる可能性が高いため、医師に相談して可能な限り神経を温存できる方法を検討することが良いでしょう。

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