いい治療は、良い相談から。 よく分かる歯科治療ガイド
「なるべくなら失敗したくない!」誰だって思うことは同じです。
ここでは歯医者さんに相談する前に知っておきたい、歯科治療の基本情報をご紹介します。
インビザラインができない症例もあるって本当?理由と具体例を紹介
透明な目立ちにくい装置で歯並びを治せるインビザライン。治療中の見た目が気にならない点が魅力的で、「矯正するならインビザラインを受けたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、装置の微調整がしやすいワイヤー矯正と違い、インビザラインには適した症例とできない症例があります。
本記事では、インビザラインで治療できない理由と、できない症例の具体例を紹介します。できない症例に当てはまるからと言って、絶対にできないわけではありません。どんな治療方法にすればできるのかも合わせて説明するので、「インビザラインで治療できない」と言われて悩んでいる方は、最後までご一読ください。
インビザラインで治療できない症例がある理由
インビザラインで治療できない症例がある理由は、インビザラインの装置に特徴があるからです。
歯並びを良くするためには、歯の場所を変えたり向きを変えたりしなければなりません。しかし、インビザラインは、歯を軽微に動かすことを得意としています。そのため、歯を大きく横に動かしたり、回転させたりする動きが必要な症例の場合は、できないと判断されてしまうのです。
インビザラインに適しているのは、前歯の隙間を埋める、少し歪んでいる歯を整える、といった比較的軽い治療で済む症例です。
インビザラインができない症例の具体例
歯を大きく動かす必要があるのかどうか、ご自身で判断するのは難しいでしょう。
ここからは、インビザラインができない症例がどういうものなのかを5つに分けて具体的に説明します。
1.骨格に問題がある
歯並びが乱れている原因が骨格にある場合は、インビザラインで治療できません。例えば、「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」という上顎が突出している症例や、「下顎前突(かがくぜんとつ)」という下顎が突出している症例、「過蓋咬合(かがいこうごう)」という下の歯が上の歯で覆い隠されている症例などです。
上顎前突の場合は、出っ歯になっている歯を後ろに引いて歯並びを整えなければならないため、インビザラインには適しません。
下顎前突や過蓋咬合の場合は、歯並びを治す前に骨格を改善する外科手術が必要なケースもあります。そのため、インビザラインだけで歯並びを治すのが難しいのです。
2.歯並びが大きく乱れている
八重歯があったり、歯が重なりあっていたりする症例も、インビザラインで治療ができない症例の一つです。これらのように歯並びがガタガタになっている状態のことは、「叢生(そうせい)」と呼びます。
叢生の場合は、歯を大きく動かさなければなりません。歯の移動距離が大きくなりやすく、歯の向きも変えなければならないため、「インビザラインでは難しい」と言われてしまうのです。
3.歯周病が進行している
歯周病は、歯を支える骨が溶けてしまう病気です。そのため重度の歯周病にかかっていると、移動の際に歯が抜け落ちてしまう恐れがあります。
インビザラインだけに言えることではありませんが、矯正治療自体にリスクが生じてしまうため、治療できないと判断されてしまいます。歯周病がある場合は、先にそちらの治療を受けてから矯正治療を受けましょう。
4.多数の歯を抜く必要がある
矯正治療を開始する際に、抜歯をするケースがあります。これは、顎が小さく、歯を並べるためのスペースが足りない症例で行われます。
スペースが少ない場合は抜歯する本数も増えるため、空いたスペースが広くなり歯の移動距離も大きくなります。その結果、インビザラインでは治療できなくなってしまうのです。
5.インプラント治療を受けている
過去にインプラント治療を受けている場合も、インビザラインで治療ができません。理由は、インプラント体が顎の骨に埋め込まれて固定されており、その場所から移動させられないからです。
動かす必要のない場所にインプラントがある場合は、問題ありません。しかし、治したい歯列の中にインプラントがある場合は、インビザラインができません。どうしても行いたい場合は、インプラントを抜き、矯正治療後に改めてインプラントを埋めることになります。
ワイヤー矯正と併用すればできる可能性もある
インビザラインには適さない症例がある一方で、ワイヤー矯正は症例を選びません。ワイヤー矯正は歯科医師自身の手で装置の微調整ができるため、症例に合わせて装置の形を変えられるからです。
とはいえ、「装置を常に装着しておくのは抵抗がある」という方もいるでしょう。その場合は、まずワイヤー矯正で大きく歯を動かした後に、インビザラインに切り替えて治療する方法もあります。
「ワイヤー矯正は装置が目立つ」と思われている方もいるかもしれませんが、近年は目立ちにくい装置を取り扱っている歯医者さんも多くなってきています。目立ちにくさを重視したい旨を歯科医師に伝え、治療方法が工夫できるかを相談してみるとよいでしょう。
まとめ
インビザラインで治療できない症例は、下記の通りです。
- 骨格に問題がある
- 歯並びが大きく乱れている
- 歯周病が進行している
- 多数の歯を抜く必要がある
- インプラント治療を受けている
インビザラインで治療できない症例がある理由は、装置に特徴があるからです。ワイヤー矯正は歯の状態に合わせて装置を整えられるため、症例を選ぶことなく治療できます。一方でインビザラインは、マウスピースの形を大きく変えることはできません。そのため、歯を大きく動かしたり、向きを変えたりする症例には適さないのです。
どうしてもインビザラインで矯正治療をしたい場合は、ワイヤー矯正で歯を動かした後、インビザラインに移行するという方法もあります。歯医者さんでよく相談の上、治療計画を立ててもらいましょう。
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