歯列矯正の費用はどうして高いの?治療法別の相場と料金の詳細を解説

歯列矯正を検討している方の中には、治療費の高さから治療になかなか踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。しかし、「費用が安いからこの医院で治療を受けよう」という安易な判断は、あまりおすすめしません。

本記事では、歯列矯正の費用が高額になる理由や相場、料金の詳細について説明します。正しい知識を身に付けることで、より良い治療を選択できるようになります。歯列矯正の費用で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

歯列矯正の費用が高い理由

歯列矯正の費用が高い理由は、原則、自費診療になるからです。虫歯や歯周病などは口腔内の機能回復を目指す治療のため、保険が適用されます。一方で歯列矯正は、見た目の改善を目指す審美的な治療となるため、保険適用外になるのです。

自費診療の治療の中でも、「歯列矯正は特に高い」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。その理由は、患者さん一人ひとりに合う装置を作製するほか、歯の動きに合わせて微調整を重ねるため、歯科医師の経験や技術が必要な治療だからです。

ただし、唇顎口蓋裂や骨形成不全症など特定の咬合異常の場合に限り、定められた医療機関でのみ保険適用で歯列矯正が受けられます。自分のケースが当てはまるかどうかは、歯医者で尋ねてみましょう。

 

装置による料金の違いと相場

歯列矯正といってもさまざまな治療方法があり、種類ごとに料金は異なります。

治療の種類別の相場は、下記の通りです。

治療の種類 相場 治療期間目安
一期治療(子どもの矯正) 30~80万円 数年
マウスピース矯正 30~120万円 1年〜3年
ワイヤー矯正(表側) 70〜100万円 2年〜3年
舌側矯正(リンガル) 100〜150万円 2年〜3年
ハーフリンガル矯正 80〜130万円 2年〜3年
部分矯正 30〜60万円 6カ月〜1年6カ月

歯並び全体を治す場合は、部分矯正は選べません。歯の軽微な歪みを改善したい方に向いている治療で、根本的な歯列の悪さは治せないからです。

舌側矯正は、歯の裏側に装置を装着する治療方法です。目立ちにくいのが大きなメリットですが、歯の裏側は複雑な形をしているため治療の難易度が高く、料金も高く設定されています。

上記の通り、どの治療方法を選ぶかによっても治療費は大きく変わります。

 

歯列矯正の費用の詳細

「歯列矯正の費用は高い」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、費用の内訳はご存じでしょうか。どのような費用が必要かを理解できていれば、支払い計画も見通しやすくなります。

ここからは、歯列矯正の費用の詳細について説明します。

【治療前】相談料や精密検査・診断料

歯列矯正の治療前に必要になるのは、相談料や精密検査・診断の費用です。初診相談の場合は2,000-5,000円程度で行っている医院もありますが、最近は無料の医院も多く、相談にはお金がかからないケースもあります。

ただし、自分のケースで具体的にどのような治療になるのかは、相談のみでは分からないこともあります。抜歯や事前治療の必要性を判断するなど、治療計画を立てるためには精密検査が必要だからです。

精密検査の費用は、30,000円程度のところが多くなっています。レントゲン撮影や歯型取りなどを行えば、相談だけよりもより詳しい治療計画を聞くことができます。治療を受けるかどうかは、この時点で判断しても構いません。

ただし、検査料(検査時に必要な費用)と診断料(説明の際に必要な費用)を別で設定している医院もあります。料金内で何を行うのかは、しっかり把握しておきましょう。

【治療前】抜歯・事前治療の費用

歯を並べるためのスペースが十分にない場合は、治療前に抜歯が必要です。歯列矯正のための抜歯は「便宜抜歯(べんぎばっし)」と言われており、保険適用外となります。一般的に1歯あたり5,000〜10,000円ほどで、上下合わせて4本抜歯する場合は20,000〜40,000円ほど必要です。

また、精密検査で虫歯が見つかった場合は治療が必要です。これは保険適用で治療を受けられますが、治療しない場合よりも期間と費用がかかります。

【治療中】装置料・調整料(通院費)

治療のために必要な費用は、装置料と調整料です。ワイヤーやマウスピースといった装置本体の値段は、先述した通り30〜150万円ほどになります。

また、装置をつけた後は、定期的に装置を調整しながら歯を動かします。そのため、ワイヤー矯正であれば月に一度、マウスピース矯正であれば2〜3カ月に一度の通院が必要です。ワイヤー矯正は通院のために調整するため、調整料として毎回3,000〜5,000円程度かかります。

治療が長引くほど費用がかさむため、どのくらいの期間支払う必要があるのかをしっかり把握しておきましょう。

【治療後】通院費用と保定装置代(リテーナー代)

歯を動かし終わったら治療は終わり、ではありません。歯は元の位置に戻ろうとしてしまうため、次は固定するための保定装置(リテーナー)を装着します。

装置料に含んでいる医院もありますが、別で保定装置の料金を設定をしている医院もあります。追加で必要になる場合は、2〜6万円ほど必要です。

また、保定装置を装着している間も3〜6カ月に一度、検診を兼ねて通院します。通院時には歯並びのチェックやクリーニングが行われるため、調整料と同程度の費用がかかります。

 

まとめ

歯列矯正の費用が高い理由は、2つあります。1つ目は、見た目をきれいにする審美治療になるため、原則、保険適用外の治療であること。2つ目は、患者さん一人ひとりの口に合わせた装置を作製するため、高度な治療技術が必要だからです。

使用する装置や歯並びの状態によっても治療の難易度が変わるため、症例や使用する装置によっても料金が大きく変わります。

また、必要な費用は装置の料金だけではありません。精密検査・診断料のほか、抜歯や通院中の調整料、治療後の保定装置代などさまざまな費用がかかります。保険外治療は医院によって料金が異なるため、何にどの程度の料金が必要なのかをしっかり理解した上で治療を検討しましょう。

掲載内容に問題がありますか? 報告する