歯列矯正で小顔になる人もいれば、ならない人もいます。歯列矯正によって歯並びや噛み合わせが改善され、歪みやエラの張りが抑えられてフェイスラインがすっきりする場合があります。そのため、顔の歪みやエラの張りに影響していない症例は、歯列矯正を受けても小顔にはなりません。

この記事では、歯列矯正で小顔を実感しやすい人の特徴を紹介します。

歯列矯正は小顔にするための治療ではない

歯列矯正は歯並びや噛み合わせを改善するためにおこなう治療方法であり、小顔にすることを目的としていません。しかし、直接的な小顔効果は得られないものの、結果として小顔になったと感じる人もいます。

歯列矯正をおこなうことで、口元がすっきりしたり、エラの張りが軽減されたりすることがあるからです。人間は顔や体が左右対称になっているほど審美性が高いとされています。歯並びや骨格が原因で顔の歪みがあった人も歯列矯正でフェイスラインのバランスがよくなり、見た目が改善されることで小顔になったと感じる場合があります。

歯列矯正で小顔になったと感じやすい人の特徴

歯列矯正を受けたすべての人が小顔になるわけではありません。治療前の歯並びや骨格の状態によって小顔になる人とならない人がいます。

口元が前方に飛び出ている

出っ歯や受け口など口元が前方に飛び出している人の場合、歯列矯正により唇の盛り上がりがなくなるため、横から見たときのフェイスラインがすっきりします。

横顔がすっきりするだけでなく唇がしっかり閉じられるようになることから、面長気味であった輪郭が改善され小顔になったと感じやすいです。

歯がガタガタしている叢生（そうせい）や八重歯なども歯が顎の骨より前に出ている状態なので、歯列矯正で歯並びを整えることによりフェイスラインがすっきりする場合があります。

咬筋（こうきん）が発達している

咬筋とは頬骨から顎にかけてのびる筋肉です。一般的に「エラ」と呼ばれる部分に位置しています。咬筋は強く噛みしめることにより刺激され、筋肉が発達します。

咬筋が発達しやすい人の特徴は以下の3つです。

• 食事の際に片側ばかりで噛んでいる
• 歯ぎしりや食いしばりの癖がある
• 過蓋咬合（かがいこうごう）

噛み合わせが悪く、食事の際に左右どちらかの顎ばかりを使う人がいます。左右均等に負荷がかからないため片側の咬筋が発達しやすくなります。顔の歪みにもつながるため、自覚がある人は左右均等に噛むよう意識しましょう。

歯ぎしりや食いしばり癖がある場合も注意が必要です。

歯ぎしりは睡眠中に歯を左右にギリギリとこすり合わせたり、上下にカチカチと噛み合わせたりすることです。

食いしばりは歯に動きはありませんが強い力で噛み合わせている状態で、睡眠中だけでなく日中にも無意識におこなっている場合があります。

歯ぎしりや食いしばりは体重の2〜3倍の負荷が顎の骨にかかっているので、歯を傷めるだけでなく顎の関節にも大きな負担になります。強い噛みしめは、咬筋が発達しやすくエラが張る原因です。歯ぎしりや食いしばりの原因は明確にはわかっていませんが、ストレスや骨格、歯列が影響していると言われています。

過蓋咬合とは奥歯で噛み合わせた際に、上の前歯の被さりが大きく下の前歯が見えない状態のことをさします。噛む力が強い噛み合わせであり、咬筋が発達しやすくエラが張る原因です。

 

歯並びや骨格により咬筋が刺激されやすい噛み合わせになっている場合は、歯列矯正で改善されることがあります。咬筋の発達を抑えることにより、エラの張りが改善されるため、小顔になったと実感しやすくなります。

骨格によってエラが張っている場合は、外科手術が必要になるため歯列矯正だけでは治せません。

歯列矯正により食事量が減少した

歯列矯正により食事量が減少し、顔周りの脂肪が落ちることで小顔を実感するケースも少なくありません。

ワイヤー矯正の場合、装置を自分で取り外すことができないため、食事がとりにくかったりブラッシングがしづらかったりする場合があります。食事後は装置に食べかすが詰まりやすく、清潔を保つために食事後は歯磨きをする必要があるので、面倒と感じる人も多いでしょう。歯磨きが面倒くさいという理由からワイヤー矯正をしている人は、食事回数を減らす傾向があります。

マウスピース矯正は取り外しが可能なものの、外すごとにマウスピースの洗浄や歯磨きが必要になります。また、装着時間の長さが治療効果に影響するため、長時間の取り外しができず、食事回数が減ることがあります。間食の習慣があった人も歯列矯正によりやめる人も多いでしょう。

摂取カロリーが減少することで顔の脂肪が減り、小顔になる場合があります。また、噛む回数が減ることにより、咬筋の発達が押さえられエラの張りが軽減されることがあります。食事量の減少は歯列矯正で小顔になると言われる理由の一つです。

親知らずを抜いた

歯列矯正をおこなうにあたって、親知らずを抜く場合があります。抜歯をすると抜いた歯の周辺組織が少しずつ萎縮していきます。「廃用性萎縮」といい、ごくわずかな変化ですが顎の骨が減少することによって、フェイスラインがすっきりする場合があります。

組織の萎縮が親知らずの抜歯に小顔効果があるといわれる理由です。親知らずを抜くと誰でも小顔になれるというわけではありませんが、人によっては廃用性萎縮により小顔になったと感じる人もいるでしょう。

症例によっては歯列矯正で小顔になる

歯列矯正ですべての人が小顔になるわけではありませんが、実際に小顔になったと感じる人もいます。口元の歪みや出っ張り、咬筋の発達に影響を及ぼしている症例の場合は、歯列矯正後に小顔を実感しやすいかもしれません。

歯列矯正は歯並びや噛み合わせを改善する治療方法のため、小顔になりたいという理由では選択しないでください。

また、歯並びが原因の場合は歯科矯正で改善が見込めますが、骨格に問題がある場合は骨を切るなど外科手術が必要になります。