いい治療は、良い相談から。 よく分かる歯科治療ガイド
「なるべくなら失敗したくない!」誰だって思うことは同じです。
ここでは歯医者さんに相談する前に知っておきたい、歯科治療の基本情報をご紹介します。
口内炎の治療は歯医者さんに任せよう!症状の特徴や口腔がんの可能性を解説
口の中の粘膜が炎症を起こす口内炎は、私たちにとって身近な病気の1つといえます。ですが、口内炎に対して正しい治療法や、どこのお医者さんに診てもらうべきか分からない方がいらっしゃるかもしれません。
本記事では口内炎の症状や治療法などを詳しく解説します。また、口内炎を防ぐための対策も紹介しますので、参考にしてください。
口内炎とは
口内炎とは、頬の内側や歯茎、舌など、口の中やその周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。赤ちゃんからお年寄りまで、年齢に関係なく発症する可能性があります。
口内炎は頬の裏側の粘膜だけに限らず、のどや歯茎、唇の裏側など、口の中のあらゆる粘膜で発症します。また、唇の境目となる口角で発症したものは口角炎、舌に発症したものは舌炎、唇に発症したものは口唇炎と呼ぶように、炎症を起こす場所によって呼び名が変わります。
口内炎の種類と症状
口内炎には次の種類があります。
・アフタ性口内炎
・ウイルス性口内炎
・カタル性口内炎
・アレルギー性口内炎
・ニコチン性口内炎
それぞれの口内炎の特徴と原因、症状について解説します。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は、最も一般的な口内炎です。円形や楕円形の白っぽい潰瘍ができ、その周囲が赤く盛り上がるのが特徴です。
発症の原因は明確になっておらず、免疫力の低下やストレス、疲れ、口内にできた傷、栄養不良などから起因するといわれています。
強い痛みを感じることがあり、部位によっては唾液を呑み込むのが辛くなるケースもあります。
ウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎は特定のウイルスが原因となって発症する口内炎です。原因となるウイルスには、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状ヘルペスウイルス、A群コクサッキーウイルスなどがあります。
単純ヘルペスウイルス由来または水痘帯状ウイルス由来の口内炎は、3歳以下の子どもが発症するケースが多いのが特徴で、口内にできる複数の水ぶくれがつぶれて炎症を起こし、強い痛みと発熱を伴います。発熱と痛みによって食欲の低下や接触への拒否反応などが起こり、場合によっては脱水症状を引き起こす場合もあります。
A群コクサッキーウイルスは由来の口内炎は、ヘルペス性口内炎とよく似た症状が出ますが、感染力が高いのが特徴です。
また、ウイルス性口内炎では複数の小水疱ができる多発性口内炎となるケースが多い傾向にあります。小水疱が破れてびらん(粘膜上層の細胞が剥がれ落ち内層が露出した状態)が発生する場合があり、発熱や強い痛みが伴います。
カタル性口内炎
カタル性口内炎は、物理的刺激により発生する口内炎です。
義歯や矯正装置、薬品などの刺激などによって粘膜が傷つき、そこから細菌が入り込んで口内炎を発症します。また、口の内側の粘膜を誤って噛んでしまった場合も発症することがあります。
口内の粘膜に水泡が出きるほか、境界がはっきりしない腫脹ができるのが特徴です。また、唾液の増加、口臭の発生、口内が熱くなる、味覚が分かりづらくなるなどの症状を引き起こすケースもあります。
アレルギー性口内炎
特定の食物、薬物、金属などが刺激となるアレルギー反応によって発生するのが、アレルギー性口内炎です。
白い円型の腫れとその周りが赤く腫れ、食べ物や飲み物がしみる症状が出るのが特徴です。
ニコチン性口内炎
喫煙習慣によって口腔内が長期間熱や煙にさらされることで発症するのがニコチン性口内炎です。
口内の粘膜や舌に白い斑点が出るのが特徴で、ピリピリした刺激を感じることもあります。症状次第では口腔がんに発展することもあります。
歯医者さんでの口内炎の治療方法
アフタ口内炎は1~2週間程度で自然治癒するケースが一般ですが、痛みが長引く場合や症状を緩和したい場合は病院での診察を受けた方がいいでしょう。
口内炎は決まった診療科がないため、口腔外科や耳鼻咽喉科、内科などで治療を受けられますが、歯医者さんでも治療を受けられます。ここでは歯医者さんで行われる口内炎の治療方法を紹介します。
具体的な治療方法は次のとおりです。
・レーザー治療
・硝酸銀の塗布
・ステロイド軟膏の塗布
・内服薬の処方
・原因因子の除去
レーザー治療
レーザー治療は、口内炎の患部を医療用レーザーで焼く治療方法です。
レーザー照射によって患部を殺菌しながら、粘膜表面のたんぱく質を凝固させることで接触痛を大幅に緩和できます。また、細胞組織を活性する働きがあり、治療後には患部の再生を促すことになるため、直りが早くなります。
照射1回当たり3分程度と治療時間が短く、即効性の高い治療方法ですので、すぐに痛みから解放されたい方に向いている治療方法です。ただし、治療時は少し痛みを感じることがあります。
硝酸銀の塗布
硝酸銀は歯医者さんでよく使われる虫歯の進行を止めるための薬で、口内炎の患部に塗布して治療するケースがあります。
硝酸銀には腐食作用と殺菌作用があり、口内炎の治療に効果的とされている一方、逆に悪化することが稀にあるため、最近ではあまり行われない治療方法です。
また、患部への硝酸銀の塗布は涙が溢れるほどしみて痛いといわれています。
ストロイド軟膏の塗布
アフタ性口内炎の治療には、ステロイド剤による対症療法も効果的です。
患部にステロイド軟膏を塗布することで、痛みを和らげながら治癒が早まる効果が期待できます。
ただし、唾液が流れてしまいやすいデメリットがあるほか、副作用によって患部周辺の免疫力が低下し、カビや細菌などが繁殖しやすくなることがあります。
内服薬の処方
ウイルス性の口内炎には、内服薬による治療を行います。抗ウイルス薬や抗真菌薬によって、ウイルスの除去を目指します。
原因因子の除去
物理的な刺激によって口内炎を発症している場合は、原因となる虫歯や詰め物などの治療・除去を行います。
また、口腔内の不衛生が原因の場合は、歯垢や歯石などを除去して口腔内の細菌数をコントロールする治療を行うケースもあります。
さらに、アレルギー性口内炎が疑われる場合は血液検査や普段内服している薬の副作用を調べるためのヒアリングなどを行い、治療方法を探ることもあります。
いつまでも治らない場合は口腔がんの可能性も
一般的な口内炎は1~2週間程度で治癒するものですが、いつまでも口内炎が治らない場合は口内炎以外の疾患を疑ったほうがいいかもしれません。
特に、炎症部分が徐々に大きくなる場合は、口腔がんによる潰瘍の可能性もあります。口腔がんとは口の中に発症するがんの総称で、舌がん、歯肉がん、口唇がんなど発生場所によってさまざま呼び方があります。
口腔がんになるケースは稀ではありますが、可能性はゼロではありません。口内炎と口腔がんは見た目が似ているため、口内炎だと思い込んで発見が遅れるケースがあるほか、口腔がんを放置すると他の場所に転移する恐れもあります。
口腔がんは2018年に約22,000人が羅患、そのうち約7,800人が死亡しており、羅患者は増加傾向にあります。長引く口内炎が気になる場合は、歯医者さんで視察を受けることをおすすめします。
口内炎にならないための対応策
口内炎を防ぐため対策は、バランスの良い食事を心がけることと、睡眠不足を避け疲労や精神的ストレスをためない生活を送ることです。また、ビタミン類の積極的な摂取も効果的です。虫歯が欠けている場合や、歯の詰め物に異常がある場合は、できるだけ早く適切な治療を受けるようにしましょう。
口腔内を潤すためにこまめな水分摂取を意識するほか、ガムや飴を食べたり、唾液腺マッサージを行ったりして、唾液の分泌を促すのもおすすめです。
また、煙草の煙や熱によって粘膜が炎症を起こすこともあるため、喫煙は控えるようにしましょう。
まとめ
今回は口内炎の種類が症状の特徴、口腔がんの可能性などについて解説しました。
口内炎の症状が長引く場合は歯医者さんで診察を受け、適切な治療を行いましょう。場合によっては症状の悪化、口腔がん発症の可能性もあるため注意が必要です。
本記事を参考に口内炎を早期に治癒させましょう。
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