「虫歯予防効果」が期待できる⁉「キシリトール」を大解剖!

市販のキシリトールガムをかむと虫歯が予防できるって本当?実際に効果はあるの?どのくらい期間を使うと効果があるの?など「キシリトール」についての疑問をお調べしました。最近はガムやタブレットなど種類も豊富です。キシリトールとの上手な付き合い方を探っていきましょう。

 

「キシリトール」とは何でしょうか?

キシリトールとは、「糖アルコール」と呼ばれる天然の代用甘味料で、冷涼感があり後味の切れが早いのが特徴です。果物や野菜に多く含まれ、実は私たちの肝臓でも1日に約15gのキシリトールが作られているのです。市販のタブレットやガムに含まれるキシリトールの原料は、主に白樺の​​樹木やトウモロコシの芯などから採取されています。キシリトールは厚生労働省より食品添加物として認可されており、お子様からご高齢者、妊婦の方まで安心して摂取できる天然甘味料です。

キシリトールは虫歯を治すことができるのですか?×いいえ、虫歯は治せません!!

キシリトールは、虫歯になってしまった歯を治すことはできません。残念ながら、虫歯になってからキシリトールガムを嚙むのでは遅いということです。毎日の歯磨きに追加し、1つの「虫歯予防策」としてキシリトールを取り入れることで「虫歯の発生や進行を防ぎ、虫歯になりにくくする」効果が実証されています。

キシリトール 「虫歯の発生や進行を防ぐ効果」とは?

キシリトールの効果の前にまず、「虫歯がどうやってできてしまうか」をご説明します。虫歯の主な原因菌はミュータンス菌です。そのミュータンス菌が甘いジュースやお菓子などに含まれている糖分を「ごはん」としてグルカン(粘着性の多糖体)を作ります。そしてグルカンが歯につくと歯垢(プラーク)になり、歯垢の中の細菌が増殖して、ミュータンス菌がさらに糖分を「ごはん」にして酸を作ります。酸によって、歯のエナメル質の表面からリンやカルシウムが溶け出して、歯は虫歯になってしまうのです。

前述したように、キシリトールは虫歯を治すことはできませんが、毎日の歯磨きに追加して取り入れることで歯に良い効果が期待できます。どのような効果があるか詳しくみていきましょう。

虫歯の原因「ミュータンス菌」の活動を弱める

キシリトールは、虫歯の原因の細菌ミュータンス菌に取り込まれると、​​「キシリトール5リン酸」という物質に変化します。多くは体の外へ排出されますが、ミュータンス菌内に残った「キシリトール5リン酸」は、​​ミュータンス菌の活動を鈍化させる働きがあるのです。また、継続してキシリトールを一定期間、取り入れ続けることで、ミュータンス菌自体を減少させる効果があるとも言われています。

酸を作り出すための「ごはん」にならない

ジュースやお菓子などに多く含まれる砂糖などの糖類は、ミュータンス菌の「ごはん」となり、虫歯の原因となる酸を作ります。キシリトールは少しややこしいですが、「糖類」ではなく「糖アルコール」の1つなので、ミュータンス菌の「ごはん」にはなりません。実は多くの糖アルコールは口内に入ると少量の酸を作ると言われていますが、キシリトールは酸を作らず、これは糖アルコールのなかでもキシリトールだけの特徴です。

歯垢(プラーク)の中の酸を中和する

キシリトールは酸を作り出さない特徴だけではなく、ややアルカリ性の唾液の分泌を促進することで、歯垢の中の酸を中和する作用もあります。これは虫歯の進行を抑える効果であることを意味します。歯垢の中には、食べ物の糖分である「ショ糖」を分解する「シュクラーゼ」という酵素があり、この酵素の働きによっても虫歯の原因となる酸は作り出されてしまうのですが、キシリトールは酵素シュクラーゼ自体の働きを鈍化させるため、酸を作りにくくする働きもしてくれるのです。

キシリトール 「虫歯になりにくい丈夫な歯を作る効果」

キシリトールは虫歯の発生や進行を抑えるだけでなく、以下のような丈夫で健康な歯を作る効果も期待できます。

歯の再石灰化を促進し歯を強化する

歯は酸にふれると、表面のエナメル質が溶け出し、「脱灰(だっかい)」と呼ばれる初期虫歯の状態になります。それに反してややアルカリ性である唾液が酸を中和し、唾液に含まれるカルシウムやリンが歯の表面のエナメル質を修復することを「再石灰化(さいせっかいか)」と言います。私達が食事をするたびに、口内では「脱灰」と「再石灰化」が繰り返され、バランスを保っているのです。そのバランスが崩れ、「脱灰」に大きく傾いてしまうと虫歯の進行につながります。キシリトールは、唾液中に含まれるカルシウムとくっつくと、歯の再石灰化を促進し酸で溶け出したエナメル質の修復を促して、強くて硬い丈夫な歯に導いてくれるのです。

唾液の分泌を促進して口内環境を整えてくれる

天然甘味料であるキシリトールは、口に入ると味覚を刺激して唾液の分泌を促します。唾液には、酸を中和する「緩衝作用」や再石灰化を促す「再石灰化作用」、口の中をきれいにする「自浄作用」、細菌の繁殖を抑える「抗菌作用」があり、キシリトールによって唾液がたくさん分泌されることでこれらの作用が働いて、虫歯ができにくい口内環境を作り出します。

キシリトールの効果はまず「3カ月」継続を!

キシリトール製品を摂取し続けると、まず2週間ほどで虫歯の原因菌であるミュータンス菌が減少し始めると言われています。そして3カ月程度で虫歯のリスクを抑えることが可能なレベルになると実証されています。キシリトールを取り入れることは、あくまでも虫歯予防を補助する「虫歯予防法」の1つです。丁寧な歯磨きなどのデンタルケアを必ず一緒に行いましょう。

【まとめ】

 

最近はコンビニやスーパーマーケットなどで気軽にいつでも購入できるキシリトール製品。小さなお子様からご高齢の方まで、噂ではなく「虫歯予防効果」が実証されているものです。歯の健康習慣のために、歯磨き・デンタルフロス・歯間ブラシなどと同様、デンタルケアグッズの1つとして、ぜひご家族みんなで取り入れることをおすすめします。

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