いい治療は、良い相談から。 よく分かる歯科治療ガイド
「なるべくなら失敗したくない!」誰だって思うことは同じです。
ここでは歯医者さんに相談する前に知っておきたい、歯科治療の基本情報をご紹介します。
セルフ歯磨きじゃ取れないもの?歯医者さんで歯石取り(歯石除去)
歯医者さんに行って「歯石取りますね」と処置を頂いて、痛かった方も、痛くなかった方もいらっしゃるでしょう。(歯石が多い場合、痛い方が多いようです)とにもかくにも終わった後のあの爽快感!何かを成し遂げたかのような気すらしますよね?以下、歯石取り(歯石除去)について詳しくご説明いたします。
歯の石?歯石(しせき)ってなんだろう?
歯石とは、歯についた汚れや細菌である歯垢(プラーク・バイオフィルム)が、口内の唾液に含まれるカルシウムなどの成分と結合して石灰化したものをさします。文字通り、石のように固くなる場合もあり、細菌の温床になるといわれます。歯磨きで磨き残してしまった歯垢は、大体48時間で歯石へと変化するといわれています。
歯石と歯垢(しこう)はどう違う?
歯の表面を指で触った時にネバッとしたものが付くことがありますが、このネバネバが歯垢(プラーク・バイオフィルム)です。食後だいたい4~8時間ほどで食べ残しは歯垢に変化します。実際は難しいですが、毎食後の歯磨きを徹底すると歯垢の予防は可能なのです。
歯垢は細菌の集合体であり、1gあたり1千億個以上の細菌があるといわれています。歯垢は歯磨きで除去することができるのですが、除去しきれなかった「歯垢」が、歯磨きでは取ることができない「歯石」となるのです。
歯石を放置するとどうなるの?
歯石は細菌の温床といわれ、その細菌が歯についてしまうと「虫歯」、歯茎についてしまうと「歯周病」、また口臭などの原因になってしまうようです。また、歯石を長い時間放置してしまうと、付着している菌が口から身体全身へまわってしまい、動脈硬化や糖尿病による脳梗塞、心筋梗塞など、生命をおびやかしかねない重篤な全身疾患へとつながってしまうことがあるようです。
歯石は歯医者さんでしかとれません
「歯磨きをしっかりして歯石を自分で取りたい!」と思いますよね?しかし実のところ、歯石は自分で行う歯磨きでは取れるものではなく、歯医者さんに行くしか除去方法はないのです。
特別な機器を使い、歯科衛生士・歯科医に取ってもらうしかないのです。歯垢は毎日の歯磨きで取り除くことができるのですが、石灰化してしまった歯石になってしまうと、セルフケアでは除去できません。ご自分で無理にやろうとしてしまうと歯茎などを傷める原因になるので、必ず歯医者さんに行って処置をしてもらいましょう。
歯石取り後、歯医者さんに予防をしてもらおう
歯医者さんの歯石取りでは、除去後のきれいになった歯に、処置以降に歯石がつきにくくなるように予防措置を行ってもらうことが可能です。歯の表面に細かい小さな傷などがあると、細菌や汚れ、磨き残しの食べ物などが入り込み、歯垢の発生、そして歯石の付着につながってしまいます。その傷などに専用の薬剤を用いて、表面を平らに整えてもらう処置が予防措置です。
歯石取りにはどんな種類がある?費用は?
スケーリング
歯茎から露出している歯についた、多少柔らかくて黄色みのある歯石を、スケーラーという鋭利な刃が付いたフック状の器具を用いて、除去するのが「スケーリング」です。きちんと歯磨きができている人であったり、定期的に歯石取りの処置を受けているような人の場合、スケーリングのみで歯石取りは対応可能なようです。ただし、保険治療では一度の来院での口内全体の歯石取りの処置を行うことは認められていないため、上の歯と下の歯、2回の通院に分けて処置をおこなうことになります。
保険治療では1回1,000円程度、自由診療では1回3,000〜10,000円程度が相場といわれています。
ルートプレーニング
歯茎の中の、黒っぽく、しっかりと歯に付着してしまった歯石を取るのが「ルートプレーニング」です。そのような黒い歯石は歯垢に唾液だけでなく、血液を固める血小板などが凝固して形成されたものです。とても頑固に付着しているため、処置に痛みを伴う場合もあります。1度の来院ですべての歯石を取りきることは難しく、複数回の通院が必要とされています。比較的重度の歯周病と判断される場合は、歯周ポケットの深い部分を処置するので、麻酔が使われることも多いようです。
保険治療では 1 本 300 円程度、自由診療では 1 時間で 10,000 円~15,000 円程度が目安とされています。
フラップ手術
歯の根の奥深くに歯石がこびりついてしまい、それが歯周病を悪化させてしまっているようなケースでは、ルートプレーニングではなく、「フラップ手術」と呼ばれる手術を行うことがあります。深い歯周ポケットの中の歯石や、病変部を除去し、歯茎と歯を支える周りの骨を、健康な状態にする手術です。部分麻酔をし、歯茎を切開して歯周ポケットの奥にある歯石を除去します。
保険治療では 1 本 2,000 円程度、自由診療では 10,000〜100,000 円と高額になるようです。
一般的な歯医者さんの歯石取りの流れ
歯医者さんで受けられる歯石除去の処置には、保険治療と自由診療があります。歯石取りの一般的な手順では、まず歯と歯茎の状態を診察し、歯周病の検査を行います。検査では「プロービング」と呼ばれる歯周ポケットの深さの測定や、歯と歯茎を確認するレントゲン検査が行われます。検査で歯周病があるかを調べ、歯周病の患者に対してのみ、保険治療での歯石取りの処置が行われます。
- 診察、検査、プロービング
- スケーリング
- ルートプレーニング
- 歯石予防措置・歯面清掃
通常、以上のような流れで歯石取りは行われます。
歯石取りにかかる時間の目安はどのくらい?
歯石の量や質、付着している状態によって異なりますが、大体の目安としては、保険治療の場合1回20分程度、自由診療では30分から1時間程度といわれています。歯医者さんでの歯石取りの時間を短めにするためにも、自分で行う歯磨きを念入りに行い、歯垢を除去し健康な歯を維持したいですね。
歯石がつかないようにできることは?
①歯石ができやすい箇所を意識して歯磨きする
歯医者さんで歯石取りを行って、痛かった部分・鏡をみて赤くなっている部分こそが「歯石ができやすい箇所」といえます。歯石になる前の歯垢を、自分で行う歯磨きで取り去る習慣をつけましょう。
②歯間ブラシ・デンタルフロスを使う
最近は安価で手に入る歯間ブラシ・デンタルフロス。使用後はスッキリもしますし、歯垢除去対策として良い仕事をしてくれます。
③マウスウォッシュを使用する
口臭の予防として使用している方も多いと思いますが、殺菌作用があるものも多く、歯垢除去に役立ちます。
④キシリトールガムを噛む
キシリトールガムは、歯垢を作り出すのを防ぐ働きがあるといわれます。食後に一粒気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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