虫歯ではないと言われたのに歯が黒いのはなぜ?原因と治療法を解説

鏡を見て自分の歯が黒くなっていることに気づき、「虫歯かな?」と心配になっていませんか?実は、歯が黒くなる原因は虫歯だけとは限りません。今回は、虫歯以外で歯が黒くなる原因と、それぞれの治療法について解説します。

歯が黒くなる主な原因

歯が黒くなる原因は様々ですが、大きく分けると以下の3つに分けられます。

1. 歯の表面への着色

飲食物の色素やタバコのヤニによる着色

コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなどの色の濃い飲食物や喫煙は、唾液を介して歯に色素が付着し、着色の原因となります。
また、大豆に含まれるイソフラボンもポリフェノールの一種であるため、着色を引き起こすことがあります。

バイオフィルムと口呼吸は着色を促す

バイオフィルムは歯の表面に汚れが溜まりやすく、口呼吸は口の中を乾燥させて唾液の自浄作用を弱めます。これにより、バイオフィルムが付きやすくなり、歯の着色が進行します。
特に、前歯の着色は、口呼吸による影響で進行することが多い傾向にあります。

2. 歯の内部からの変色

虫歯や外傷による変色

虫歯が神経まで進行したり歯に強い衝撃が加わったりすると、神経が死んでしまうことがあります。その結果、歯の内部で出血が生じ、黒く変色することがあります。

薬などの服用やフッ素による変色

鉄剤、一部のうがい薬(イソジンなど)、テトラサイクリン系抗生物質、フッ素は、歯の変色を引き起こす可能性があります。
特に、成長期にテトラサイクリン系抗生物質やフッ素を摂取することで、永久歯の色に影響を与える場合があります。

3. 歯の周りの組織の変化

縁下歯石

歯と歯ぐきの間にある歯周ポケット内で形成される「歯肉縁下歯石」は、血液成分などを取り込んで黒くなるため、歯が黒っぽく見える原因となります。

金属やコンポジットレジンの変色

金属製の詰め物は、金属イオンが口腔内で溶け出すことで、歯や歯肉が黒く変色することがあります。これは、金属が時間の経過とともに徐々に劣化するためです。
一方、コンポジットレジンは水分を吸収しやすく、外部の影響を受けやすいため、経年劣化によって変色しやすくなります。

変色した歯の治療方法と予防

食事中の水分補給と喫煙後のケア

食事中に水を飲むと、歯に付着した食べ物の汚れを自然に洗い流すことができ、結果的に着色の予防につながります。
喫煙されている方は、喫煙後に口をゆすぐ習慣をつけることで、歯の着色を軽減する効果が期待できます。

毎日の歯磨きと定期的な歯科検診

毎日の歯磨きでは、歯ブラシに加えてデンタルフロスなどを使用し、しっかりと汚れを除去することが着色の予防に効果的です。
ただし、歯石や着色汚れを完全に取り除くことは難しく、歯科医院でのクリーニングが必要になります。特に問題がなくても、3~4ヶ月に一度の定期検診が推奨されています。

ホワイトニング

ホワイトニングは、歯の表面だけでなく、内部の着色にも効果があります。
ただし、薬剤によっては歯が変色する可能性があり、また被せ物や詰め物がある歯には効果が出にくい場合もあります。まずはかかりつけの歯科医院に相談することをおすすめします。

ラミネートべニアやセラミックによる治療

ホワイトニングで十分な効果が得られない場合、ラミネートベニアやセラミックを用いた治療により、着色した歯の改善が可能です。
これらの方法では、歯の表面にセラミックを貼り付け、歯の色や形を理想的に整えることができます。ただし、この治療は自費診療であり、歯を削る必要があるため、メリットとデメリットを十分に理解した上で、歯科医師と相談することが重要です。
また、歯の黒ずみが金属による場合、金属を使用しないセラミックやジルコニアなどの素材に交換することで、変色の進行を抑え、見た目を改善することが期待できます。

服用薬剤の変更

現在服用している薬について、担当医と相談し、ほかの薬に変更可能かどうか検討してみましょう。

神経の損傷

歯の外傷や虫歯によって歯の神経が損傷し、機能を失った場合には、根管治療が行われます。
神経を除去し歯内部を消毒したあと、変色が気になる場合には、歯の漂白剤「ウォーキングブリーチ」を使用して歯の内部から漂白する治療を行うことがあります。

正しい歯磨きとクリーニングで着色を防ぐ

歯が黒く見える原因は、一つではなく、複数の要因が関係していることが多くあります。
定期的なクリーニングや、正しい歯磨き習慣を取り入れることで、歯の表面に汚れが付きにくくなり、着色を防ぐことが可能です。
歯の色について不安や疑問がある場合は、かかりつけの歯科医院に相談してみましょう。

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