親知らずの抜歯後はどうすればいいの?抜歯後のケアと注意点

親知らずの抜歯は多くの場合、腫れや痛みを伴います。抜歯後のケアを怠ると、治癒に時間がかかったり合併症を引き起こしたりすることもあるので、抜歯後のケアはとても大切です。この記事では、抜歯後の注意点や具体的なケア方法など、詳しく解説します。

抜歯後に気を付けること

抜歯直後から当日

  • 安静: 血行が良くなると出血しやすいため、激しい運動や長時間の入浴、飲酒を避け、なるべく安静にしましょう。
  • 出血: 指示通り止血ガーゼを噛んでいても出血が止まらない場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。
  • 食事: 麻酔が切れるまでは飲食は控えます。また、刺激を与えないよう熱すぎるものや硬いものは避けて、柔らかいものを中心に食べましょう。(例:スープ、お粥、軟らかく煮たうどん、ゼリー、ヨーグルトなど)
  • うがい: うがいの回数は最低限にとどめ、強く行わないようにします。翌日以降は様子を見ながらうがいをし、お口の清潔を保ちましょう。
  • 喫煙: 血行不良を起こすと傷口の治りが悪くなるので、喫煙は控えましょう。
  • 薬の服用: 処方された抗生物質は指示通りに服用しましょう。
  • 腫れ: 腫れが気になる場合は、冷却シートや保冷剤を巻いたタオルなどで冷やすと緩和されることがあります。
  • 痛み: 痛みがある場合は、処方された痛み止めを服用しましょう。
  • 口を開ける: 口を大きく開けると、傷口が引っ張られ、痛みが増したり腫れが悪化したりする場合があります。大きく口を開ける動作は避けたほうが無難です。
  • 歯磨き: 抜歯した箇所には歯ブラシを当てないないようにしましょう。

翌日以降

  • 出血:翌日以降もうがいなどで血が混じることもありますが、ほとんどが唾液なので心配はいりません。ただし、血の塊などが混じっていたときは、歯科医院に連絡しましょう。
  • 喫煙・アルコール:抜歯後24時間は喫煙・アルコールを避けることが推奨されていますが、翌日以降もできる限り控えるとよいでしょう。難しければいつもよりも量を減らすなど工夫してみましょう。
  • 痛み・腫れ:痛みと腫れの症状が強く現れるのが、抜歯後の2〜3日です。特に、下の歯の埋伏智歯(「まいふくちし」歯肉の中に埋まっている親知らず)を抜歯した場合は、頬から顎にかけて内出血する可能性もあります。痛みがあるときには処方された痛み止めを指示通りに使用し、異常な腫れや持続的な痛みがある場合は、歯科医院に連絡しましょう。
  • 歯磨き:抜歯した部分には強い力でブラッシングせず、優しく行いましょう。液体歯磨き(マウスウォッシュ)でのうがいも効果的です。ただし、アルコール成分が入っているものは避け、コンクールやイソジンなどの殺菌効果があるものを使用してください。歯科医院によっては内服薬と一緒にうがい薬を処方する医院もあるので確認してみるとよいでしょう。
  • 定期的な歯科検診:抜歯後の経過を確認するために、指定された日時に歯科医院を受診しましょう(多くの医院が抜歯した翌日に消毒のための来院を推奨しています)。

抜歯後の合併症「ドライソケット」について

ドライソケットは、歯を抜いたあとの穴(抜歯窩「ばっしか」)に、できるはずの血の塊(血餅「けっぺい」)がうまくできない、もしくはできてもすぐに剥がれて骨がむき出しとなり、細菌感染が起きている状態です。重症化すると骨髄炎などに発展する可能性もあります。

ドライソケットを引き起こす要因

ドライソケットの原因は、まだ完全には解明されていませんが、以下のようなことが考えられます。

  • 喫煙: 血流が悪くなると血餅が形成されにくくなり、ドライソケットのリスクが高まるとされています。
  • 口をゆすぐ:強くうがいをすることで血餅が剥がれてしまう可能性があります。
  • 傷口を刺激する:傷口を舌や指で触ると血餅が剥がれる原因となります。
  • 免疫力の低下:日常生活での過度なストレスや睡眠不足などが原因で免疫力が下がると、傷口の治りが遅くなるだけではなく細菌感染しやすくなり、ドライソケットを引き起こす可能性が高まります。
  • 経口避妊薬: 経口避妊薬を服用している女性は、ドライソケットになりやすい傾向があるとされています。
  • ストローを使う: ストローを使うことで、抜歯部位に圧力がかかり、血餅が剥がれる可能性があります。
  • 抜歯部位: 歯の生え方や骨の状態によっては、血餅ができにくい場合があります。歯肉の深い部分に埋伏していたり、歯と骨の癒着が強かったりすると血餅ができるまでに時間がかかり、その間にドライソケットになってしまうこともあります。

ドライソケットでみられる症状

  • 激しい痛み: 通常、痛みのピークは2~3日ですが、1週間以上経っても激しい痛みがある場合は、ドライソケットが疑われます。冷たい水で口をゆすぐ、傷口を触る、食べかすが入るなどの物理的刺激によって痛みが走り、場合によっては頭痛が起こることもあります。
  • 悪臭のある分泌物: 傷口から悪臭のある膿などが出ることがあります。
  • 悪寒や発熱:炎症反応により、悪寒や発熱の症状が出る場合もあります。

ドライソケットの治療

ドライソケットの治療は、傷口を洗浄し、痛み止めや抗生物質を処方するなど、状況に応じて行われます。また、痛みを和らげるために、ガーゼに薬を浸して傷口に詰めることもあります。

ドライソケットを予防するために

  • 医師の指示に従う: 抜歯後の指示をしっかり守りましょう。
  • 喫煙を控える: 抜歯後のみならず、抜歯前の喫煙も控えるようにしましょう。
  • 口をゆすぐ際は注意する: 抜歯直後のうがいは優しく行い、必要以上に口をゆすがないようにしましょう。
  • 定期的な検診: 抜歯後の感染を防ぐためにも消毒や経過観察での受診は必ず行きましょう。

不安や違和感があるときは歯科医院に相談しましょう

親知らずの抜歯は多くの場合痛みを伴いますが、歯科医師の指示に基づいて適切なケアを行うことで、治療期間の短縮や合併症の予防にもつながります。

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