歯の構造からみる虫歯|痛みがでるのはなぜ?原因とメカニズム

「歯」は食べ物を噛む、発音をするなど重要な役割を担っていますが、歯の構造がわかると、症状を伝えやすくなったり治療内容が理解しやすくなったりといったメリットがあります。
また、虫歯ができたときもどこまで進行しているのかがわかると、治療にどのくらいの時間がかかりそうなのかある程度把握することができる場合もあります。

そこで今回は、歯の構造からみる虫歯の進行過程について解説します。

歯を作る4つの組織

歯は「歯冠部」と「歯根部」に分けられ、歯冠部はエナメル質、象牙質(ぞうげしつ)、歯髄の3つの組織と歯根部にあるセメント質の4つの組織でできています。

エナメル質

歯の一番外側にあり、私たちが普段目にしている部分はエナメル質です。厚さは約2~3mm程度で、体の中で最も硬い組織といわれていますが、酸に簡単に溶けてしまう性質があります。

象牙質

エナメル質の内側にあり、エナメル質よりも柔らかくこちらも酸に溶けやすい組織です。
象牙質には神経と繋がっている細い管「象牙細管(ぞうげさいかん)」が無数に通っていて、管を通じて私たちは温度や刺激を感じています。
歯がしみる症状のある知覚過敏は、この象牙質が露出していることが原因のひとつとしてあげられます。

歯髄

歯の神経を「歯髄」と呼び、温度や刺激を感じとる部分です。
歯髄は別名「歯の心臓」ともいわれていて、歯に必要な栄養を届け刺激から守る役割を担っています。
虫歯を治療する際、歯髄(神経)をとることがありますが、歯髄を取ると栄養が届かなくなり、歯は枯れた木のようにもろくなってしまうことがあります。

セメント質

歯根部表面を被っている組織で歯を顎の骨に固定する役割があります。
通常は歯肉の下にありますが、歯周病や歯磨きの力が強いと歯肉が下がりセメント質が露出してしまうことがあります。
どの組織よりも柔らく虫歯になりやすいため、露出してしまったときは注意が必要です。

歯の構造からみる虫歯

虫歯の進行がエナメル質までの場合

歯に薄茶色の穴や溝ができはじめますが、痛みがないのでこの段階で気づける方は多くありません。
ここで虫歯が発見できれば、個人差はあるものの痛みをほとんど感じることなく削る歯を最小限に抑えた治療が可能です。

虫歯の進行が象牙質までの場合

歯に穴が開き、冷たいものや甘いものがしみるなどの自覚症状が現れます。
象牙質はエナメル質よりも柔らかく、虫歯が一気に進行してしまう可能性があるので、早めに治療を行うことが大切です。

虫歯の進行が歯髄までの場合

歯に大きな穴が開き激しい痛みを伴うので、ほとんどの人が虫歯に気づきます。
歯の神経をとったり根っこの治療をしたりするのがこの段階です。
なにもしなくても痛みがある、温度に関係なくしみるなどといった症状がみられたときは注意が必要です。

歯の構造を知ると変化に気づきやすい

歯の組織にはそれぞれ大切な役割があります。
歯の構造を知ると、毎日何気なく見ていた歯の細かい変化に気づけるかもしれません。
もし、気になることや症状があれば、遠慮せず歯医者さんへ相談しましょう。

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