私たちが口を開けて鏡を見ると、舌は通常、健康的なピンク色をしています。しかし、時折、舌が白っぽく見えることがあります。これはたまたま口腔内の状況が変わった一時的な現象かもしれません。しかし、白い舌が何日も続く場合、これは何らかの体調不良のサインかもしれません。

その白い舌の主な原因は何でしょうか？それは「舌苔（ぜったい）」と呼ばれるものです。この舌苔が蓄積し、取り除かれないままになると、口臭を引き起こしたり、口腔内の細菌バランスを崩したりする可能性があります。また、舌苔が一定のレベルを超えて増えると、口腔内の全体的な健康状態を悪化させる可能性もあります。

では、舌が白くなる理由は何でしょうか？その理由は様々です。舌苔がどのようにして形成され、それがどのように私たちの健康に影響を与えるか、そしてどのように舌苔をコントロールするかについて、詳しく見ていきましょう。

1.舌の白いものの正体

舌の表面に見られる白い物質の名称は「舌苔（ぜったい）」と呼ばれます。その名前が示す通り、これは舌表面に広がる「苔（コケ）」のようなものを指します。舌苔は、粘り気があり、爪などで軽くこすれば容易に取り除くことができます。

これら白い物質の大部分は口腔内の細菌から成るため、衛生的には理想的とは言えません。歯に付着するプラークと同じ性質のものであると理解すると良いでしょう。

2.舌が白いのを放置するとどうなる？

放置された舌苔は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。各項目について詳しく説明します。

①口臭が増強する

口腔内には約100億の常在菌が存在し、その中にはむし歯や歯周病を引き起こす菌も含まれています。特に、歯周病の原因菌は、たんぱく質を分解する過程で「悪臭を発生するガス」を放出します。このため、歯周病が進行すると口臭が強くなると考えられます。

②口腔内が不潔な状態になる

毎日の歯磨きを怠ると、口腔内にプラークが溜まりやすくなります。これが歯石へと変わり、様々な口腔内の問題を引き起こします。歯磨きの主な目的は「プラークを除去し、細菌の数を減らす」ことですが、舌苔が大量に存在すると、口腔ケアを行ったとしても口腔内全体が清潔に保たれません。舌もきちんと清掃することで、口腔内全体の細菌数を抑制し、清潔な口腔環境を維持することが可能になります。したがって、口腔ケアにおいては舌の清掃も重要となります。

3.舌が白い原因とは？

舌苔の蓄積は、一定のパターンが存在することが確認されています。それについて一つ一つ詳しく見ていきましょう。

①口腔ケアの不足

舌苔の量は口腔環境に大いに影響されます。ブラッシングが不十分で歯茎に炎症が生じた場合、歯周や舌表面に存在する細菌が唾液と絡み合い、口腔内を漂うことになります。この状態では、細菌や食べ物の残りがすぐに蓄積し、舌苔も急速に増えます。したがって、舌の清潔さを維持するだけでなく、丁寧なブラッシングにより口腔内の細菌数を減少させることが重要となります。

②口腔内の乾燥

口腔内が乾燥していると、唾液の分泌が減少していることを示します。唾液は舌の保護と細菌の増加を抑制する働きを持っており、その分泌量が減ると舌が傷つきやすくなり、細菌の増加も容易になります。舌が傷つけば、表面の洗浄は困難となり、舌苔の蓄積が促進されます。

③生活習慣の問題

意外かもしれませんが、食事量が多い人よりも少ない人の方が、舌苔が蓄積しやすい傾向があります。なぜなら、私たちが摂取する食物は舌に触れ、摩擦を引き起こします。この時、唾液が分泌されて口腔内のプラークや食べ物の残りを洗い流す機構が働きます。食事量が少なかったり舌の動きに問題があると、この摩擦が少なくなり、舌苔の蓄積が促されます。また、脳疾患などで舌や手足の動きが制限されている場合も同様に舌苔が増えやすいと考えられます。

④体調の不良

ストレス、疲れ、病気などで免疫力が低下すると、口腔内の常在菌が増加し、舌苔も増えやすくなります。健康な人でも舌はある程度白く見えますが、体調が悪いときはより白く見えます。また、胃の調子が悪いときも、舌苔が増える傾向があります。その原因ははっきりとはしていませんが、舌の感覚や味覚を下げ、食欲を抑えて食事量を減らし、胃を保護する目的であるという説があります。舌の状態は全身の健康状態を反映する可能性もあるため、注視しておくことが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか？最後に舌が白いのと体調の関係についてまとめます。

1. 舌が白く見える主な原因は舌苔という白い物質で、これが大量に蓄積すると口臭の原因となり、口腔内の細菌バランスを崩し、口腔内全体の健康状態を悪化させる可能性がある。
2. 舌苔が放置されると口臭が増強し、口腔内が不潔な状態になる。これを防ぐためには、舌の清掃を行うことで口腔内全体の細菌数を抑制し、清潔な口腔環境を維持することが必要。
3. 舌苔の蓄積は口腔ケアの不足、口腔内の乾燥、生活習慣の問題、体調の不良などが主な原因であり、これらが舌の健康状態に影響を及ぼす

これらを踏まえると、舌が白いことは必ずしも体調不良を示すものではありませんが、口腔内の清潔さや全身の健康状態に影響を及ぼす可能性があるため、舌の色や状態に注意を払い、必要な口腔ケアを続けることが大切であると言えます。