ご相談内容

「数ヶ月前、他院で左下奥歯の虫歯治療を行ったが、治療途中で通院をやめてしまった。仮詰めのままでは心配なので、こちらの歯科医院で治療を続けたい」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、左下奥歯には虫歯治療中の仮詰めが装着されていました。
また、レントゲン撮影をして詳しく検査した結果、虫歯が再発している危険性は低いと考えられます。

このまま放置すると、仮詰めの隙間から唾液や細菌が入りやすく虫歯の再発リスクが高まるため、仮詰めを外して虫歯の有無を確認するとともに、歯の形を整えて詰め物を装着する「インレー治療」を行う必要があると診断しました。

行ったご提案・治療内容

仮詰めを外して虫歯の有無を確認したあと、インレー治療に使用する素材として、以下の3つを提案しました。

①自費診療の「セラミック」
セラミック素材は自費診療なので費用がかかりますが、見た目が自然で劣化しにくく、抗菌性にも優れています。今回は、色味が自然なガラス系セラミック「e.max」と、高い強度をもち割れにくい「ジルコニア」の説明を行いました。

②保険診療の強化型プラスチック「CAD／CAM」
費用を抑えられ、白い素材なので見た目が自然な仕上がりになりますが、強度が低く、割れやすいのがデメリットです。

③保険診療の金属「パラジウム」の銀歯
強度が高い金属を使用しているため、奥歯の強い噛み合わせにも耐えることができますが、見た目が銀色なので審美性には欠けます。

患者様は「審美性に優れていて、劣化もしにくい素材がいい」とのことで、「セラミックインレー」を選択されました。セラミックの種類は、ガラス系セラミックのe.maxを採用しています。

まずは、痛みを軽減するために麻酔をし、左下奥歯の仮詰めを外します。虫歯部分を染め出す薬液「う蝕検知液」を使用しながら、虫歯が再発していないことをしっかりと確認しました。
その後、歯の形を整え、削った面には歯の神経に近い「象牙質」を保護するコーティングを施し、細部まで正確に再現できる「シリコーン印象材」を用いて精密な型取りを行い、仮詰めをして初回の治療は終了しています。

約1週間後、完成したセラミックインレーを装着し、ぴったり合っているか、噛み合わせに問題がないかなどを確認して、接着強度を高めるため以下の前処理を行いました。

詰め物の接着面：密着性を高めるために、タンパク質を除去して接着面に細かい凹凸を作る「エッチング処理（酸処理）」を施したあと、無水エタノールを用いた超音波洗浄
詰め物を接着する歯の表面：タンパク質の除去と洗浄を行ったあと、歯の外側にある層「エナメル質」にエッチング処理を施し、象牙質には表面に薄い膜を作る「ボンディング処理」

前処理のあとは、耐久性と接着力の高いレジンセメントを用いてセラミックインレーを装着し、治療を終了しています。

この治療のリスクについて

・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・装着に際し、天然歯を削る場合があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・一部の治療を除き、自費診療（保険適用外治療）です

• 年齢・性別 20代女性
• 診療種別 自由診療

• 治療期間の目安 約1週間
• 治療回数の目安 2回
• 治療費総額の目安 60,000円
  （e.maxインレー1本）

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。
ご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当サイトは一切責任を負いかねますのでご了承ください。