ご相談内容

「20年以上前に入れた銀歯がたくさんある。銀歯は虫歯の再発リスクが高くて心配なので、再治療を検討している」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、左上の小臼歯2本には金属の詰め物「メタルインレー」、その奥の大臼歯2本には金属の被せ物「メタルクラウン」が装着されていました。
虫歯や詰め物・被せ物の破損は確認できませんでしたが、金属と歯の境目に段差が生じていました。

一般的に保険診療の銀歯は、時間の経過とともに歯と詰め物の境目が合わなくなることがあります。この隙間から細菌が入り込むことで、虫歯の再発「二次虫歯」を引き起こすリスクが高まるとされています。

以上を踏まえ、患者様のご希望に沿って虫歯になりにくい材料で再治療することが望ましいと診断しました。

行ったご提案・治療内容

はじめに左上の銀歯をすべて除去し、虫歯が再発していないかを確認します。そのうえで、二次虫歯のリスクが低い材料「セラミック」の詰め物や被せ物で修復することを提案し、同意いただきました。

小臼歯にはご自身の歯の色と馴染みやすいガラス系セラミックの詰め物「e.maxインレー」、大臼歯の被せ物にはセラミックの中でも奥歯特有の強い噛み合わせに耐えられる「ジルコニアクラウン」を採用しています。
また患者様の身体的な負担を軽減するため、治療を詰め物と被せ物に分けてそれぞれ2本ずつ行い、1回の治療時間を短縮する計画を立てました。

はじめに左上小臼歯2本の治療を実施します。
まず、麻酔を行いメタルインレー2本を取り除いたところ、詰め物の下で二次虫歯が認められたため、虫歯の染め出し液「う蝕検知液」を用いて丁寧に除去しました。

次に詰め物を装着するため歯の形を整えて、歯を削ったことにより露出した内部組織「象牙質」を保護するコーティングを施します。
その後、細部までしっかりと再現できる「シリコーン印象材」を用いて精密な型どりを行い、仮詰めをして初回の治療を終了しました。

約1週間後、作製したe.maxインレーが歯にぴったりと合っているか、噛み合わせに問題がないかを確認し、劣化しにくく接着力にも優れた「レジンセメント」で接着しました。

接着の際、接着強度を高めるためe.maxインレーの接着面には特殊な薬液を塗布し加工する「エッチング（酸処理）」を行ったあと、清潔にするための消毒液「無水エタノール」に浸して超音波洗浄を施しています。
併せて詰め物を装着する歯には、レジンセメントがよりしっかりと接着するよう、歯の表面組織「エナメル質」にエッチング（酸処理）、象牙質の表面に薄い膜を作るための薬液の塗布「ボンディング処理」を実施しています。

続いて、左上大臼歯2本の治療を行います。
これらの歯は以前に神経を取り除く処置を施した歯「失活歯」であり、削る際に痛みを感じないため麻酔を行わずに処置を進めました。

まずメタルクラウン2本を除去し、歯ぐきをわずかに押し広げる「歯肉圧排法」を用いて形を整えました。
歯肉圧排法を行うことで歯と歯ぐきの境目が明瞭になり、歯にぴったりと合った被せ物を作製できます。
その後、シリコーン印象材を用いて精密な型どりを行い、仮歯を装着しました。

約1週間後、作製したジルコニアクラウンが歯にしっかりと合っていること、噛み合わせに問題がないことを確認し、レジンセメントを用いて接着しました。

接着の際、ジルコニアクラウンにはe.maxインレーと同様にエッチング、無水エタノールによる超音波洗浄を施しています。
また、被せ物を装着する歯に対しても象牙質へのボンディング処理を行っています。

さらに、ジルコニアクラウンには天然歯のような見た目に近付けるための着色「ステイン法」を施し、治療を終了しました。

この治療のリスクについて

・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
・セラミックの装着に際し、天然歯を削る必要があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります

• 年齢・性別 60代女性
• 診療種別 自由診療

• 治療期間の目安 約4週間
• 治療回数の目安 4回
• 治療費総額の目安 約396,000円
  【内訳】
  e.maxインレー2本
  大臼歯ジルコニアクラウン2本（ステイン法、仮歯費用を含む）

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。
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