金属が原因でアトピー性皮膚炎のような症状が起こることを「偽アトピー性皮膚炎」と言います。普段アレルギーがない方でも発症する可能性があり、「偽」という名称のとおり、実際のアトピー性皮膚炎とは違う病気として区別されています。
とは言え、一般的なアトピー性皮膚炎と非常によく似た症状のため、患者様自身では区別がしにくいケースがほとんどです。銀歯には「パラジウム合金」と呼ばれる金属が主な素材として用いられていますが、パラジウム合金は長期間お口の中に入れておくと、唾液に含まれる酸によって溶けて出してしまうことがあります。その溶け出した金属によって金属アレルギーの症状を引き起こし、それが血液によって全身に運ばれることで偽アトピー性皮膚炎を発症すると考えられています。症状としては、口周りの痒みや湿疹からはじまり、悪化すると手足にまで湿疹が広がってしまう患者様も多いです。
皮膚に症状が現れるため、まずは皮膚科を受診していただいて構いません。皮膚科で処方された薬を使用してもなかなか症状が改善されない場合には、銀歯が原因による偽アトピー性皮膚炎である可能性があるため、そのような場合には歯科医院を受診し、銀歯の状態を確認してもらうことをおすすめします。詰め物をセラミックなどの素材に変更することで、偽アトピー性皮膚炎の症状が緩和されるかもしれません。

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