ご相談内容

定期的なメンテナンスでご来院いただいた際、「最近、冷たいものを口にすると左上奥歯がしみる気がする」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、左上奥歯の噛み合う部分「咬合面」から前後の歯との間「隣接面」にかけて黒く透けていたため、レントゲン検査を実施した結果、虫歯が認められました。
この虫歯が原因で「冷たいものがしみる」という症状が生じていると考えられます。

虫歯が進行して神経に達すると、何もしなくても痛みが出るようになったり、最終的には歯を失ってしまったりするおそれがあるため、早急な治療が必要だと診断しました。

行ったご提案・治療内容

患者様には、以下の治療方法を提案しました。

①保険診療の白いプラスチックの詰め物「コンポジットレジン」で治療する方法
1回で治療が終了しますが、プラスチック素材のため経年劣化により変色や隙間が生じやすく、虫歯の再発リスクが高いのがデメリットです。

②金属素材やセラミック素材の詰め物「インレー」で治療する方法
インレーには、以下の種類があります。
「メタルインレー」：銀の詰め物であるメタルインレーは、プラスチックよりも強度が高いものの、経年劣化により隙間ができやすく、虫歯再発のリスクはコンポジットレジンと同じく高めです。
「CAD/CAMインレー」：プラスチックと、自然な白さが特徴の「セラミック」を混ぜた素材の詰め物です。保険診療のため費用を抑えられますが、強度がやや低く破損するおそれがあります。
「セラミックインレー」：セラミック素材の詰め物です。自費診療となるため費用はかかりますが、天然歯のような透明感のある自然な見た目を再現できるうえ、変形や変色も少なく、治療直後の状態を長期間維持することができます。また汚れが付きにくく、虫歯の再発リスクを軽減できるメリットもあります。

患者様は、虫歯の再発リスクが低く、ご自身の嚙みしめる力に耐えられる強度がある素材をご希望されたため、セラミックの中でもとくに耐久性に優れた「ジルコニア」のインレーを装着する方法を提案し、同意いただきました。

まず痛みを抑えるための麻酔を施し、虫歯部分を染め出す薬液「う蝕検知液」を用いて丁寧に虫歯を取り除きます。
次に歯の形を整え、削った部分がしみないよう、神経に近い組織「象牙質」を保護するコーティングを行いました。
その後、細部まで正確に再現できる「シリコーン印象材」を用いて精密な型取りを行い、仮詰めをして初回の治療を終了しています。

約1週間後、完成した詰め物が歯に合っているか、噛み合わせには問題がないかを確認し、接着強度を高めるため、詰め物と歯の接着面には以下の前処理を行いました。

詰め物：タンパク質を除去し、接着面を凸凹にする「エッチング処理」を行ったあと、無水エタノールを使用した超音波洗浄
詰め物を装着する歯：タンパク質の除去と洗浄をしてから、歯の一番外側の層である「エナメル質」にエッチング処理を施し、象牙質の表面に薄い膜を作る「ボンディング処理」
※エナメル質と象牙質は組織に違いがあるため、表面処理の方法も異なります。

最後に、耐久性と接着力の高い「レジンセメント」を使用して詰め物を装着し、治療を終了しました。

この治療のリスクについて

・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
・装着に際し、天然歯を削る場合があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・一部の治療を除き、自費診療（保険適用外治療）です

• 年齢・性別 30代男性
• 診療種別 自由診療

• 治療期間の目安 約1週間
• 治療回数の目安 2回
• 治療費総額の目安 60,000円
  （ジルコニアインレー）

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。
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