ご相談内容

「右上奥歯の乳歯が抜けた。もともと永久歯がないので歯を作りたい」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、患者様の右上奥歯は生まれつき永久歯が1本欠損していました。乳歯は生えかわることなく残っていたものの永久歯に比べてあまり長持ちしないため、抜け落ちていました。
このまま放置すると審美性が損なわれ、しっかりと噛むことができないだけでなく、周りの歯が倒れるといった影響が出る可能性もあるため、歯を補う治療が必要です。

また、欠損部位の両隣の歯は神経が残っている健康な歯です。

行ったご提案・治療内容

歯を補う方法には、両隣の歯を削って橋渡しのように歯を補う「ブリッジ」、取り外し可能な入れ歯、人工歯根をあごの骨に埋めて歯を取り付ける「インプラント治療」の3つがあります。

3つの方法のなかでも、ブリッジや入れ歯による治療は外科手術を必要としません。
しかしブリッジの場合、10年維持できる確率が18％（岡山大学　森田教授らの論文より）とされており、インプラント治療に比べて長持ちしにくい傾向です。また、両隣の歯に負担がかかり寿命が短くなるリスクも考えられました。
入れ歯に関しては、噛み心地が悪く取り外しの不便さ、さらに年配者が使用するイメージが強いことから、若い女性には敬遠されやすい治療です。

以上の理由から、外科手術が必要となるものの、欠損部位を単独で治療でき、自然な見た目と噛み心地を実現できる当院のインプラント治療「ハートフルインプラント」を提案しました。
治療期間はおよそ2ヶ月半であることも説明し、同意いただいています。

手術に際してインプラント埋入位置を確認したところ、鼻の空洞「上顎洞」が近接しており、あご骨の高さがほかの位置と比較して少ないことが判明しました。
そのため、歯がもともと生えていた部分に穴を開けて少しずつ上顎洞の粘膜を押し上げる手術「ソケットリフト」を実施してから、インプラントを安全に埋入する計画を立てました。
また上顎洞付近の骨を押し上げる手術には、ソケットリフトのほかに上顎洞の横の骨に窓を開けて粘膜を高い位置に上げる「ラテラルアプローチによるサイナスリフト」もあります。
しかし、この方法では腫れや痛みが強く、患者様の負担も大きいのが懸念点です。

まず、右上奥歯の欠損部位にソケットリフトを実施しました。ソケットリフトの機材は、上顎洞粘膜損傷のリスクを抑え安全に処置できる「SCAキット」を用いています。
その後、インプラントを埋入し手術を終了しました。インプラントの種類は、人工歯根と上部の被せ物を連結する部品が一体化した「HAワンピースインプラント」 を採用し、手術が1回で完了するよう配慮しています。

インプラント上部の被せ物には、セラミックと歯科用プラスチックを混ぜ合わせた自然な美しさがある「ハイブリッド冠」を選択しました。

＜ハートフルインプラントとは＞

・アメリカ特許取得の「OAMインプラントシステム」を採用
このシステムは、骨を削らず専用器具を用いて骨に針のような小さな穴を開け、少しずつ広げてインプラントを埋入する方法です。
従来のインプラント治療よりも痛みや腫れを軽減することが可能で、出血も少なく済みます。またドリルを使用しないため、大きな音や振動がほとんどなく、患者様の恐怖心を和らげられます。

・骨の量が少ない方にも対応
骨の量が少ない方でも、骨の移植や造成を行わずにインプラントによる治療が可能です。
感染リスクが高まる複雑な処置を回避し、患者様の負担を軽減できます。また、骨を削る量が最小限に抑えられるため、インプラントと骨が結合しやすく、2ヶ月ほどで噛めるようになる傾向にあります。

・「ワンピースインプラント」を採用
パーツが一体化した「ワンピースインプラント」を採用しているため、手術が1回で済み、患者様の負担を軽減できるのが特徴です。
また、強度が高く細菌が繁殖しやすい連結部がないことから、将来的なインプラント周囲炎のリスクも低減できます。

・考えられるリスク
アバットメントやインプラント体にトラブルが生じた場合、部品を一式交換する可能性があります。

この治療のリスクについて

・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、被せ物が割れる可能性があります
・自費診療（保険適用外治療）です

• 年齢・性別 20代女性
• 診療種別 自由診療

• 治療期間の目安 2ヶ月と23日
• 治療回数の目安 11回
• 治療費総額の目安 386,000円

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。
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