ご相談内容

「他院で抜歯と診断を受け、ブリッジかインプラントによる治療が必要と言われたが、できるだけ歯を残したい。残せない場合はインプラントを検討しているので、治療法について話を聞きたい」と、セカンドオピニオンでご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

レントゲン写真を確認すると、左下奥歯は歯根の分かれ目「根分岐部」から歯根の半分くらいのところにかけて黒く透けていました。黒い部分は「透過像」と呼ばれ、歯茎の腫れや出血を引き起こす「歯周病」により骨が吸収されてなくなっている状態です。

特に痛みはないとのことでしたが、根分岐部まで骨吸収が及ぶのは歯周病の進行が深刻な場合が多く、一般的には抜歯になる可能性が高い症例です。

しかし、患者様の場合は左下奥歯の内側の歯茎は歯周病の進行が軽度だったことから歯を保存できる可能性があり、そのためには歯周病治療を行って歯茎を再生させる処置が必要と診断しました。

行ったご提案・治療内容

歯の汚れを取り除く「歯周基本治療」を行ったのち、骨を回復させる「再生療法」を実施して歯を残すための治療を行い、もし予後がよくない場合は改めて抜歯を検討する治療プランを提案しました。患者様は「治療期間が長くてもいいので、できるだけ歯を残したい」と希望され、治療に同意いただきました。

まずは保険診療のルールに則り、全体的な歯茎の検査である「歯周基本検査」を行い、専用の器具で汚れを除去する「スケーリング」を実施します。

その後少し期間をあけ、歯茎の状態を再度検査する「再評価」を行った結果、歯周病の進行リスクをできるだけ減らす必要があったため、歯と歯茎の間の溝「歯周ポケット」が深い部分には歯茎の中の歯根についた汚れを取り除く「SRP」を実施しました。

歯周基本検査よりもさらに細かく歯茎の状態を見る「歯周精密検査」を実施したところ、汚れの残り具合を示す「PCR」が25％未満となりました。これは、ブラッシング状況が良くなってきていることを示しており、歯茎の炎症も改善が見られます。

歯茎の状態が落ち着いたことが確認できたため、左下奥歯に再生療法を行います。左下奥歯の歯茎を切り開き、歯周ポケット内を目視しながら、歯茎の中や歯根にこびりついた汚れを徹底的に除去する「FOP（歯肉剥離掻爬術：しにくはくりそうはじゅつ）」を実施しました。

仕上げに、状態が改善した歯茎の中へ骨の再生を促進する保険適用の薬剤「リグロス」を塗布して歯茎を縫合します。4ヶ月ほど経過観察をした後、レントゲン写真にて黒い透過像があった部分に骨ができていることが確認できたため、白くて丈夫な被せ物「ジルコニアクラウン」を装着し、治療を終了しました。

この治療のリスクについて

・病状、症状、患者様のお口の環境によって、複数回にわたる施術が必要となる場合があります
・治療後の十分なセルフケアやメンテナンスを怠ると、歯ぐきの炎症が再発・進行する可能性があります
・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります
・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります

• 年齢・性別 30代女性
• 診療種別 保険診療
  一部自由診療

• 治療期間の目安 8ヶ月
• 治療回数の目安 -
• 治療費総額の目安 約140,000円
  （保険診療、ジルコニアクラウン）

※掲載された情報は治療の効果を保証するものではありません。
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